スムーズな服薬のためのおすすめ方法と注意点

介護サービスを受けている利用者が薬を服用するとき、介護職員を通してではなく利用者が自ら服用することも少なくない。本人が医師からの指示通り適切な量と種類の服薬をしていれば問題ないが、認知症の高齢者や知的障害者などは、適切な服薬ができない場合もある。まだ飲んでいないのにすでに飲んだと主張したり、苦いから嫌だとか、毒が盛られているから飲まないなど頑なに拒絶することもある。逆に、もう飲んだのにまだ飲んでいないと主張して更に服用しようとする利用者もいる。こうした問題に対処する際に、利用者任せでは危険だからといって介護職員が完全に服薬を管理すると、利用者のプライドが著しく傷つけられてしまう。

利用者に少しでも自己管理できる能力が残存していれば、できるだけ本人の意思を尊重して服薬については最低限のサポートに留めることが大切だ。また、しつこく声かけして服薬を迫ると逆効果となることもあるので、利用者の机上に「薬は飲みましたか」と記したメモを置くとスムーズに服用できるケースもある。そして、服薬時刻の規定にこだわらず、時間がずれても服薬できるタイミングがあれば服薬させても良い。認知症の高齢者などは、飲まないと病気になるというような脅しは通用しない。本人が飲もうとするタイミングを逃さず服用させることが大切なのだ。どんな対策を取っても薬の服用を拒絶される場合は、薬を食べ物に混ぜる方法も試すと良い。担当介護職員の勧めに対して服用を拒むケースでは、ケアマネジャーや看護師など介護職員以外のスタッフが勧めてみると上手くいくこともあるので、服薬を勧める人を変えてみることも試してみる価値はあるだろう。